生物多様性という言葉について振り返りつつ、生物多様性条約に関して、国連ではどのような議論がなされているか、そして国内の動きや今後の展開についてお話しさせていただきます。
@ 生物多様性について
生物多様性から私たちが得ている恵みやメリットを「生態系サービス」と呼んでいます。生態系サービスには、「物質を供給している」「気候、洪水、病気の制御をしている」などありますが、これらの強弱により生物多様性は、私たちの生活に関係しています。
生物多様性が損なわれているということを耳にすることがありますが、それは生物が絶滅することを指します。絶滅は、以前からありましたが、何故それが問題かというと、過去、生物が絶滅したスピードの何百倍ものスピードで絶滅が起こっているからです。人間が様々な形で土地を利用することにより、過去の隕石の衝突などと同じくらいの威力で他の生物たちに影響を与えているのです。ですから、生物たちは絶滅ということを通し、人間社会が今後何か対応しなければならないことを伝えているのだと思います。
A 生物多様性条約について
生物多様性条約は、「地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること」「生物資源を持続可能であるように利用すること」「遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ公平に配分すること」を目的とする国際条約で、国際協力のもと様々な取組みが行われています。
その中で、2010年には、第10回生物多様性条約締約国会議(COP10)が名古屋で開催されます。そこでは、2010年目標に対する各国の達成状況の評価や、ポスト2010年目標について議論が行われます。また、国際NGOの方々なども出席され、その中でどのような議論をするのか、またどのような協力体制を築けるかが、重要になると思います。
また、ポスト2010年目標の素案が公開されています。今回は、中長期や短期の目標の他に個別目標が設定され、それをなるべく達成できるような具体的な手法が載っていることが特色となっています。その中に、森林破壊の速度に対する数値目標を何とか盛り込めないかというアイデアも出ています。国内の動きとしては、昨年、生物多様性基本法が成立しました。
これを受け、農林水産省でも生物多様性戦略が策定され、その中で目指すべき5つの森林の姿が示され、実行されているところです。また、民間企業やNPOなどによる生物多様性の保全のための様々な取組も行われています。「読書会で生物多様性に関する本を紹介する」「生物多様性に関するシンポジウムに参加する」など、ちょっとしたことからも始められるので、取り組まれてはいかがでしょうか。